恩師の想い出(その1)

 大学の恩師は、常に他の専門家がやらない分野に着目して先端を走っていました。

 その一つが、地域施設としての葬祭施設です。昔は迷惑施設として、どこの自治体も建設、誘致することを嫌っていました。

 人生の最後を、おごそかに静かに、あるいは親しみを込めて送り出す場です。これを軽んじていた自治体の取り組み、建築学会の有り様に一石を投じました。
 人が旅立つにふさわしい建築空間を計画し、デザインするだけでなく、海外の事例から学びながら、日本にふさわしい姿を構築しようとした研究と設計の実践です。
 大学を退官されてからも、研究会や海外見学など、相変わらず忙しくされているようです。

 私の在学時は、ご自身の専門テーマを学生に押し付けず、学生の自主性を重んじて接してこられました。学術的な研究を重んじる建築学科内では異端者でもありました。
 既存の権威に臆することなく、探究心をもって道を究めようとする姿です。常に自然体でした。
*私の卒論テーマは「旧江戸城の歴史的水辺環境と再開発問題」でした。もちろん、恩師の研究テーマではありませんが、他に指導できる教授が居なく、お願いして研究室に入れていただきました。

 私は本当に出来の悪い(笑)学生でしたので、かえって印象に残ったんでしょう。毎年の夏にささやかな贈り物を送らせていただいていますが、奥様の過分な気遣いも有り、驚くような倍返しが来ることもあります。

 私は学術的なことは余り学ぶことができず、返す返すも不徳の致すところですが、せめて「物事の捉え方、取り組み姿勢」の一端を学ぶことができたのは、非常に幸運だったと思います。

 また、一緒に食事をする際も、「貴方、食べ物は残すな。絶対に粗末にするな。きれいに食べなさい。」と毎度言われました(笑)。
 この教えも有り、社会に出てから、会食も含めて、出てきたものを残すことはありません。

 それから、不名誉な卒業研究の発表会も忘れることができません。
 私のテーマを約5分間で概要について発表したあと、他の研究室の教授陣から質問やアドバイスが出たのですが、こともあろうに良く知っている某教授と口論になり、質問が10分以上延び、その場で学科長裁定により、私の卒論は「審議」となりました(笑)。

 某教授「あなたの研究テーマの学術的目的はなんですか。」という質問に対し、私「学術的な価値やテーマだけが研究ではないと思います。目的は冒頭に述べました。」と受けたのです。
 さあ、大変です(笑)。自尊心の強い教授に火を付けてしまい、一学生が最も発言力の強い名物教授に喧嘩を売った?ということで、相当もめました。

 私の恩師も「おまえのお陰で、寿命が縮まったわ。でも教授会は任しとけ。」とニヤリとして、研究室をでられ、単位認定の審議の教授会へ向かわれました。
*審議の対象になったのは私だけではなく、質問に満足に回答できなかった学生も含まれています。

 あとで、打ち上げの際に指導教授(恩師)に苦言を頂戴したのですが、あなたが、「ご質問ありがとうございます。テーマの分析も含めて今後の課題とさせてください。」と一言フォローすれば問題にはならなかったと。(笑)
(つづく)
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by neo-diy | 2014-03-01 11:25 | 仕事の回想・自分史 | Comments(0)

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