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小説「秒速5センチメートル」を読んで

今年の初夏に、ネットTVの動画配信で邦画・アニメ映画の特集が有り、新海誠氏の作品をいくつか観た。
その中の一つ小説と同じ題名の「秒速5センチメート」という作品に強く惹かれた。
*「桜の花びらの落ちるスピードが秒速5センチメートルだよ。」と言う初恋の少女の言葉から始まる物語。

最近のライトノベルやアニメ映画の傾向として、青春ものは大半が主人公にとって、概ねハッピーエンド的な結末を迎えるのだが、この作品はそうではなかった。ジブリの作品に比べると、違う方向性である事がわかる。

この作品は2007年の春に公開され、当時、映画館で上映されたあと、客席から動けなくなった女性が続出したというリポートが有り、私もなるほどと思った。なにかしらの奇跡が最後に起こって、主人公が救われるのでは?と思っていたが。

3話構成のこの作品は、特に第一話を観ていないと最終話の意味がわからなくなる。初恋をひきずって生きてきた主人公(男性)の心情を理解するのに不可欠な部分だからだ。
とにかく、リアリティのある映像であったし、ストーリーも流石に現地でのロケを重ねて作られただけのことはあり、見る人の実体験と重なる部分が多く、それが特に映画館で観た女性にはインパクトが強かったと言える。

さて、この作品は「アニメ映画版」が原作であり、小説の方はあとから作られて出版された。映画では理解しにくかったり、省略されていた人物像やエピソードが補完されている。これによって、映画での喪失感が一部違うものに感じられることだろう。映画と小説がセットになるべき作品と言えるので、映画を見た人で小説版を読んでいない人にもお薦めできる。
*小説では映画の第三話を中心に補足されている。

私の場合は、アニメ映画を観たあと、どうにも理解しにくい部分が気になって、先日、小説の方を取り寄せて読んだところです。かなりの部分が納得できたので良かったと思う。

異論はあると思うが、小説の方は多少無理して補足している感があり、やはり原作である映画の方を先に見たほうが良いと思いました。
私も文章を書くことは本業の中でも、重要な部分を占めているので、その難しさは十分理解しているつもり。仕事では文章でわかりにくいところを説明図など画像で補完するというのが一般的な手法です。

今回の作品は、その逆であり、動画・映像が先行して、作者が言い足りない部分などを表現したものが、この小説だと思います。ちなみに、映画版と小説版の人物説明などに多少の違いはありますが、違和感はありません。
うまく表現できていると思います。

このコロナ禍のなか、自宅で過ごす時間が増える中で、多くの人があらためて目にした作品かもしれません。
私の場合は、作品発表時には、存在そのものを知りませんでした。現在観ても新鮮な作品だと思います。世代を超えて心に響く作品。私はそう思います。
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by neo-diy | 2020-07-27 07:36 | 備忘録 | Comments(0)

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